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ロレックス自動巻き時計の特徴とは? 歴史や止まる原因・巻き方を徹底解説!

ロレックスの自動巻き時計は、長い歴史と実績を持ち、その耐久性や精度の高さに定評があります。しかし、間違った扱い方をしたりメンテナンスが不足していたりすれば、動作不良が起きてもおかしくありません。
この記事では、ロレックスの自動巻き時計が止まる原因や対処方法について解説しています。また、ロレックスの自動巻き時計の特徴や技術、歴史についても解説しますので、ぜひお役立てください。
目次
ロレックス自動巻き時計の特徴とは?
ロレックスの自動巻き時計は、高精度のムーブメント(機械式機構)によって成り立っています。ここでは、そもそも自動巻き時計とは何かを説明し、続いてロレックスの自動巻き時計の特徴を解説します。
自動巻きの仕組み
自動巻き時計とは、内部にムーブメントがあり、腕に着けているときの動きでゼンマイが自動的に巻かれる時計です。手巻き時計と違って手動でゼンマイを巻く必要がなく、装着している間は自動で動き続けます。
自動巻き時計は機械式時計に分類される時計です。腕時計にはゼンマイを動力源として動く機械式時計があり、これは手動式と自動式の2つに分けられます。一方、電池を動力源として動く腕時計はクオーツ式時計です。
また自動巻き時計は、ブランドの威信をかけて発表される高級腕時計で採用される傾向があります。自動巻き時計には複雑で小さなムーブメントが使われるため、非常に精巧な技術と手作業が必要となるからです。自動巻き時計を所有する人にとっても、特別な愛着のあるものとなるでしょう。
ロレックス自動巻きの独自技術
ロレックスの自動巻き時計には、独自開発、製造されたヒゲゼンマイが用いられています。ヒゲゼンマイとは、時計の心臓部であるテンプを構成する重要なパーツです。このパーツの伸縮動作により、テンプが回転し、時計が時間を刻むための動力を生み出します。
ロレックスの自動巻き時計は、青色のパラクロム製の「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」を採用しているのが特徴です。ブルーパラクロムヒゲゼンマイは、耐久性と精度に特に優れています。
耐久性は、一般的なヒゲゼンマイと比べて約10倍です。また、温度変化に強く耐磁性に優れているため、さまざまな利用環境において高い精度を保ちます。
多くの時計メーカーは他社製のヒゲゼンマイを使用していますが、ロレックスは自社製造のヒゲゼンマイにこだわりを持っています。
ロレックス自動巻き時計の歴史

ロレックスの自動巻き時計は、特別な敬意や愛着を持って語られます。その背景には、ロレックスの自動巻き時計の輝かしい歴史があります。
ロレックス自動巻き時計が誕生する以前
1926年、ロレックスは完全防水時計「オイスター」を開発しました。1927年にイギリス人スイマーのメルセデス・グライツがオイスターを着用してイギリス海峡を泳いで渡った際には、10時間以上時計が水中にありましたが、完璧に動き続けたほどです。
しかしながら、オイスター販売以後、リューズ(時計の側面にある小さな回転式のつまみ)部分から時計内部に水が入り込む事故が多発しました。当時のユーザーはリューズの操作に慣れておらず、ねじ込み忘れによる水入り事故が頻繁に起こっていたのです。
そこでロレックスは、リューズでゼンマイを巻かなくても動き続ける時計を作ればよいと考え、自動巻き機構の開発や精度の安定性を目指した研究を始めました。
ロレックス自動巻き時計の誕生
1931年、ロレックスは全回転式ローターによる自動巻き機構「パーペチュアルムーブメント」を開発しました。ローターが360度回転することで、腕の動きだけでゼンマイを効率的に巻き上げる革新的な機構です。
パーペチュアルムーブメントを搭載したモデルは「オイスターパーペチュアル」として販売されました。「パーペチュアル」とは、途切れることのない、永続するといった意味を持ち、この自動巻き機構の特性を表しています。
パーペチュアルムーブメントによって、リューズを頻繁に操作する必要がなくなり、水入り事故は減りました。パーペチュアルムーブメントは、「オイスターケース」(防水・防塵機能を備えた時計ケース)と「デイトジャスト」(小窓に日付を表示し日付が瞬時に切り替わる機構)と並び、ロレックスの三大発明といわれています。
技術革新と進化の歩み
その後もロレックスの技術革新と進化の歩みは続きます。1945年には日付が瞬時に切り替わるカレンダー機能を搭載した「オイスターパーペチュアルデイトジャスト」を発表し、時計業界に革新をもたらしました。
1950年代半ばには、Cal.1030ムーブメントを発表します。このムーブメントは、片方向にしか回転しなかったローターが両方向に回転してゼンマイを巻き上げるよう改良されたものです。
1960年代半ば以降には、リバーシングホイール(逆回転防止機構)にアルマイト硬化加工を施すことで、耐摩耗性能を大幅に改善しながら軽量化に成功しました。これにより、深海ダイバーや登山家、パイロットなど、過酷な状況での利用に耐えられるようになりました。
現代におけるロレックス自動巻き時計の位置付け
ロレックスが歩んだ技術革新と進化は現在にも引き継がれています。例えば、サブマリーナーやエクスプローラー、デイトジャスト、デイデイト、ヨットマスターなど、ロレックスの主要モデルには、自動巻きムーブメントが搭載されています。
ロレックスの時計は、ビジネスユースからプロフェッショナルユースまで、あらゆる環境や用途に対応できる高い性能を持っているといえるでしょう。ロレックスの自動巻き時計は高級時計ブランドの枠を超え、信頼性、革新性、ステータスシンボルとして確固たる地位を築いています。
ロレックス自動巻き時計が止まる主な原因
ロレックス自動巻き時計が止まった場合は、複数の原因が考えられます。ここでは代表的な原因を3つ解説します。ある程度原因が絞り込めれば、対処方法や相談先を選びやすくなるでしょう。
使用頻度と動作が関係している
ロレックスの自動巻き時計は、モデルにもよりますが、数日間使用しないと時計の針が止まります。着用時間が短い場合や腕の動きが少ない場合には、ゼンマイが十分に巻き上げられず、時計の針が止まることがあります。
このケースは故障ではないため、ゼンマイを巻き上げて動力を与えれば問題ありません。リューズ(時計の側面にある回転式のつまみ)を数十回手動で回してゼンマイを巻き上げましょう。詳しい方法については、後ほど解説します。
ただし、自動巻き時計は腕の動きでゼンマイを巻く設計になっているため、リューズでの巻き上げはあくまで補助的な方法として考えるべきです。自動巻き時計は内部のメカニズムがデリケートなので、頻繁にゼンマイを巻くと部品の寿命を縮める場合があります。
メンテナンス不足によるトラブル
メンテナンス不足によって、時計が正常に動かない場合もあります。原因としては、ゼンマイ不良や歯車の摩耗、潤滑油の不足や劣化などです。
一般的に、ロレックスの自動巻き時計は3~5年ごとにオーバーホール(内部のメンテナンス)を受けた方がよいとされています。この間隔はクオーツ式時計より短い点に注意が必要です。間隔が空くほど、メンテナンス不足によるリスクが高まります。
オーバーホールの内容は依頼先にもよりますが、時計を分解した後、ムーブメント(内部機械)やケース、ブレスレットそれぞれに対してメンテナンスが行われます。例えば、部品の超音波洗浄やムーブメントへの注油、防水性能のチェックなどです。
メンテナンスを行う際は、ロレックスの正規サポートの利用や、時計修理専門店に相談するとよいでしょう。
外的要因による影響
衝撃や浸水といった外部要因によって動作が不要になる場合もあります。
自動巻き時計は強い磁場にさらされると内部のパーツが磁化され、時計の精度が狂う原因になります。電子レンジやスピーカーなど、強い磁場を発する機器の近くに置くのは避けましょう。激しい衝撃を受けたときも、内部の歯車やゼンマイがずれたり、破損したりすることがあり、時計が止まる原因となります。
また、ロレックスの自動巻き時計は高い防水性能を持っていますが、リューズが締められていなかったり、防水パーツが経年劣化したりすると、水が時計内部に浸入し、サビや腐食を引き起こすことがあります。
ゴミやほこりの侵入も問題の一つです。時計のムーブメントは非常に細かい部品で構成されており、わずかなほこりでも動作に影響を与える可能性があります。ほこりやチリが内部に入り込むと、針の遅れや進み、さらには時計の停止を引き起こすことがあります。
ロレックス自動巻き時計ゼンマイの巻き方と注意点
ロレックスの自動巻き時計のゼンマイを巻く際は、いくつかの注意点があります。間違った方法で行うと故障の原因となるため、正しい方法を知っておきましょう。
腕から外してから巻く
ゼンマイを巻く際は、腕から外してから行います。着用したまま巻くと、リューズに斜めの力が加わり、ゼンマイにまっすぐ力がかからなくなるからです。不均等な力が加わると、内部の部品に負荷がかかり、故障の原因になります。
ゼンマイを巻く際は、リューズを下方向(時計の6時方向)に向かって回し、リューズを引き出します。出てきたリューズを上方向(時計の12時方向)に巻き上げます。ゆっくりと優しく30~40回を目安に巻き、最後にゆっくりとリューズを押し戻したら完了です。
ゼンマイは巻きすぎないように注意してください。多くの時計は、ゼンマイが切れないようにスリップで止めていますが、巻きすぎるとスリップの破損や摩耗につながる可能性があります。
時刻を合わせる際は時計回りに動かす
時刻を合わせる際は、まずリューズを二段階引き出し、次に時計回り(右回り)に動かします。ただし一部のモデルは操作方法が違うため、マニュアルを確認してから行ってください。
反時計回り(左回り)に針を回すと、部品にストレスがかかり、機構の損傷や故障を引き起こす恐れがあります。時計は針が右回りに進むことを前提に設計されているため、左回りに対応した一部のモデルを除いて、故障の原因となるかもしれません。
特にアンティークロレックスなどの古いモデルは、反時計回りに回さないようにしてください。
日付・時刻を合わせる時間帯に注意する
日付・時刻を調整する際は、20時から深夜2時を避けてください。理由は、この時間帯に、内部機構が日付表示を次の日に変更する準備をゆっくりと進めているからです。
この時間帯にリューズを操作して時刻や日付を変更すると、故障のリスクがあります。具体的には、内部の歯車の歯が欠けたり、部品が破損したりするなどです。その結果、精度が下がってしまったり、日付が切り替わらなくなってしまったりする場合があります。
ロレックス自動巻き時計が止まる原因を理解しておこう
ロレックスの自動巻き時計は耐久性が高く、高精度です。しかし、間違った扱い方をしてしまったり、メンテナンスを怠ったりすると、動作不要を起こす場合があります。この場合は適切に対処していきましょう。
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