COLUMNコラム
パネライの代表格ラジオミール。その歴史や特徴を解説します!
高級腕時計ブランドのイメージが強いパネライですが、パネライが生産しているのは腕時計だけではありません。温度計や湿度計、潜水用装備品携行深度計といった計器のほか、潜水灯まで幅広く生産しています。
そんな個性的なブランド、パネライの代表格といえば「ラジオミール」と「ルミノール」です。この記事では、パネライ代表格コレクションのうちのひとつ、ラジオミールに焦点を当てて解説していきます。
ラジオミールとは?
ラジオミールは、パネライが初めて手掛けたダイバーズウォッチです。パネライが開発したラジオミールという夜光塗料が使用されていることからこの名が付けられました。
蛍光塗料ラジオミールはラジウムがベースとなっており、特殊潜水部隊が暗闇の中で作戦を遂行する際にも時間をしっかり確認できるほど明るく発光していました。ちなみに、夜光塗料ラジオミールはイタリアとフランスで特許を取得しています。
パネライを代表する2つのコレクションのうち最初に作られたのがラジオミールで、軍用時計のDNAをより受け継いでいるともいえるでしょう。また、後に作られたルミノールはラジオモールを元にして作られています。
ラジオミールの歴史
パネライは1860年、イタリアのフィレンツェで誕生しました。当時は輸入時計の販売・修理のほか、光学機器を製造する時計店でした。時計の修理ができる工房も有していたため、フィレンツェで初めての時計学校でもあったようです。その後、パネライはイタリア海軍からの要請を受けて照準器などを納入し始めます。
1910年にはラジオミールの名前の由来でもある夜光塗料ラジオミールを自社開発します。ラジオミールは発光輝度が大きいうえに、水中でも問題なく使用できたことでイタリア海軍が使用するさまざまな計器に採用されるようになりました。
パネライがイタリア海軍からミッション時計の開発を任され、試作品が完成したのは1936年のことです。このときの試作品は47mmの大型スティール製ケースに夜光塗料を施したインデックス、機械式手巻きムーブメントという仕様でした。
試作品の製作から2年後の1938年、夜光塗料ラジオミールを採用したパネライ初のダイバーズウォッチ「ラジオミール」が完成します。1940年にはワイヤーループ式のストラップアタッチメントをケース一体型のラグに変更した「ラジオミール1940」を製作しています。
ラジオミールの特徴
ここからは、ラジオミールの特徴について解説していきます。
イタリア海軍からも信頼された品質
ラジオミールにはイタリア海軍からも信頼された歴史と品質があります。海に囲まれたイタリアは戦争になると主に海から攻められるため、海軍に特殊部隊が設置されました。特殊部隊は真夜中に低速魚雷艇で敵国の艦隊まで向かい爆弾をセットするという重役を担っていたのです。
しかし、ただでさえ暗い海の中を真夜中に移動して作戦を実行するためには、海中でも正確な時間を把握しなければいけません。そこで注目されたのが特許をとっていたパネライの夜光塗料ラジオミールです。パネライはもともと海軍にさまざまな計器などを納入していたことで信頼されているメーカーでした。そのため、夜光塗料を使った特殊部隊用の時計の開発を任されたのです。
デカ厚ブームの立役者
イタリア海軍御用達だったパネライの腕時計は、大きなケースが特徴です。これは、命がけで戦う海軍に向けて開発された腕時計であることから、耐衝撃性や防水性はもちろん、視認性を極限まで高める必要があったためです。
パネライは東西冷戦が終わった1993年に民生用の時計を開発し、1998年のジュネーブサロンで世界デビューを果たしました。このとき、パネライの特徴的で大きなケースが後々まで続くデカ厚時計ブームの火付け役となりました。このときのインパクトはかなり大きなもので、腕時計の標準サイズまで大きめになったともいわれています。
ラジオミールはパネライならではのデカ厚デザインが引き継がれているコレクションで、モデルによっては8mmと49mmのラインナップがあります。最も小さいサイズでも42mmなので日本人からすると十分大型といえるでしょう。
視認性の高さ
ラジオミールは大型ケースというデザインに加えて、夜光塗料ラジオミールを採用していることで視認性を高くしています。さらに、文字盤の数字は12・3・6・9のみを大型アラビア数字にすることで、一目で時間を把握できます。ほかのブランドにあるような凝ったデザインの文字盤も魅力的ですが、パネライの文字盤は視認性へのこだわり自体が魅力となっています。
シンプルな文字盤なので手に入れたのはよいものの、個性的過ぎてなかなか着用する機会がないということもありません。スーツを合わせても違和感のないデザインと一目でパネライと分かる特徴的なケースは、ビジネスシーンでの話題作りにもなるかもしれません。
文字盤のサンドイッチ構造
ラジオミールの特徴はサンドイッチ文字盤です。開発当時のサンドイッチ文字盤は三重構造でした。
一番下のプレートに夜光塗料を塗り込み、一番上のプレートに数字やインデックスの穴を空け、真ん中に夜光塗料を保護する特殊な透明ディスクを挟む構造です。薄暗い水中であっても非常に明るいため、敵に位置を把握されないよう泥や海藻で時計を隠さなければならないほどだったといわれています。
現在のパネライでもサンドイッチ構造は採用されていますが、改良が加えられ二重構造となっているほか、使用している蛍光塗料もグレードの高いスーパールミノバに変更されています。
ルミノールとの違い
パネライを代表する「ラジオミール」と「ルミノール」、両者の違いは一体どういったところなのでしょうか。ラジオミールとルミノールの大きな違いは「リューズプロテクター」です。ラジオミールのリューズはねじ込み式なのに対して、ルミノールはロックレバー式リューズプロテクターが付いています。
また、コレクションを見比べてみるとデザインの路線が異なることに気が付くはずです。ラジオミールは誕生当時の面影を残すクラシカルな印象、ルミノールはパネライならではの特徴を残しつつ近代的な印象があります。ベルトにも違いが現れていてラジオミールはシックな革ベルトのみ、ルミノールはスエードやラバー、キャンバス生地などバラエティ豊かです。
ラジオミールのおすすめモデル5選
ここからは、ラジオミールのおすすめモデル5選をご紹介します。
ラジオミール 1940 3デイズ(Ref.PAM00514)
初代ラジオミールを改良した「ラジオミール1940」の現行モデルです。ケースと同じスティールから直接成型された一体型ラグと、過酷な環境にも耐えうるオーステナイト系ステンレススティールが特徴的です。
47mmと大型ケースですが、スモールセコンドと日付表示を施したブラックの文字盤が全体の印象を引き締めています。時計好きにはたまらないシースルーバックと自社製手巻きムーブメントP.3000を搭載。パワーリザーブは3日間です。
ラジオミール ベース 8デイズ アッチャイオ(Ref.PAM00610)
現行モデルのラジオミールのなかでも特にシンプルでオーソドックスな逸品です。パネライ特許の取り外し可能なワイヤーループ式ストラップアタッチメントでストラップを簡単に変えられます。シンプルなデザインだからこそ、ストラップでさまざまな表情を楽しめるでしょう。
ケースはパネライらしい大型の45mm、自社製手巻きムーブメントP.5000を搭載し、8日間という驚きのパワーリザーブを実現しています。ちなみに、アッチャイオとはイタリア語で鋼鉄という意味です。ビジネスシーンでも活躍してくれそうなシンプルなデザインなので、大型ケースを持ったことのない人も挑戦しやすいのではないでしょうか。
ラジオミール カリフォルニア 3デイズ(Ref.PAM00424)
1936年に登場したカリフォルニアダイヤルを採用した現行モデルで、アラビア数字とローマ数字が配置されている個性的なデザインです。ユニークなデザインは遊び心のような印象を受けますが、実はきちんとした理由があります。
イタリア海軍から時計の製造を依頼されたときに、文字盤の上下を誤って認識してしまわないよう、上下の表記を分けたデザインにするよう要請されたそうです。ケースサイズは47mmとかなり大きめ。パワーリザーブは3日間です。
ラジオミール コンポジット ブラックシール 3デイズ(Ref.PAM00505)
マットな質感のブラックケースが特徴的な旧モデルです。このケースには「パネライ コンポジット」という素材が使用されています。「パネライ コンポジット」はアルミニウムに独特な処理をして生成した合成セラミックで、軽量なのに耐久性に優れています。シックなブラックと味のあるカーフベルトは大人の男性にぴったりな組み合わせといえるでしょう。
45mmのケースは存在感抜群で、自社製ムーブメントP.9000を搭載しているので、3日間のパワーリザーブが可能です。シースルーバックで腕時計が好きな人の心をくすぐります。
ラジオミール S・L・C 3デイズ(Ref.PAM00425)
文字盤の6時位置にS.L.Cのレリーフが施された、珍しいデザインが特徴な旧モデルです。S.L.Cとは「Siluri a Lenta Corsa」の略で、低空魚雷という意味があります。この特徴的な文字盤が採用されているのは過去に2モデルだけなので、かなり貴重なモデルといえるでしょう。
ワイヤーループ式ストラップアタッチメントを採用した47mmのスティール製ケースに味のあるベルトで飽きのこないデザインです。パネライ好きなら、ぜひ手にしたい1本といえるでしょう。パワーリザーブは3日間です。
パネライ腕時計の原点、ラジオミール
パネライ腕時計の原点ともいえる「ラジオミール」は、誕生から時を経た現代でも当時の面影をまとうクラシカルなコレクションです。パネライにはイタリア海軍からの信頼を得た確かな品質があり、腕時計ファンをはじめ、ミリタリーファンからも注目を集めています。
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