金は実物投資の対象として世界的に注目されています。近年金相場は上昇し続けているため、手元にある金の売却を検討している人や、金投資に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。金の売却や投資をする場合に注意したいのが、為替相場です。

この記事では、円安と円高の特徴や金相場の相関関係、金投資をする際のポイントなどを解説します。

そもそも円安・円高とは？

ニュースや新聞でよく見聞きする円安・円高ですが、具体的にどのような状態のことを指すのでしょうか。円安と円高は、外国通貨に対して日本円の価値が上がったのか下がったのかを示しています。

どちらが良い悪いではなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。まずは円安・円高の意味と、それぞれどのようなときに有利なのかを確認しておきましょう。

日本のものを外国に売るなら円安が有利

円安は、外国通貨に対して日本円の価値が安くなった状態のことを指します。そもそも円安・円高は「1ドルが〇〇円になったら円安、〇〇円になったら円高」のような基準値が定められているわけではありません。外国通貨に対する日本円の価値が、どのように変化しているのかを示すものです。

例えばある時期は1ドル100円だったものが変化し1ドル120円になった場合、同じ1ドルなのに以前の1.2倍の金額を出さなければ買えない状況に変化しています。より多くの日本円を出さなければ買えないということは、日本円の価値が下がったということです。この状況が円安です。

円安のときは、日本円を基準に考えると輸入した外国のものを手に入れるのに、これまで以上のお金が必要になる点がデメリットです。一方で外国から見ると、日本製品をこれまでよりも安く手に入れられる状況となっているので、日本製品の海外での売り上げが伸びやすくなります。

また円安になると外国人にとって日本旅行が安価になるため、インバウンド需要が増える傾向になります。海外で利益を得た場合、日本円に換算するとこれまでよりも多くの利益を得られる点もメリットです。

外国のものを購入するなら円高が有利

円高は、円安と反対に日本円の価値が外国通貨よりも高くなった状態のことを指します。例えばこれまで1ドル100円だったものが、1ドル80円に変化した状態のことです。これまでよりも少ない日本円で同じ1ドルを買えるようになったということは、日本円の価値が以前よりも上がったということになります。

円高になるとこれまでと比べて外国通貨が安くなるので、輸入品の価格が下がったり、海外旅行に行きやすくなったりする点がメリットです。輸入で賄っている資源エネルギーも安くなる傾向にあるので電気代が高くなりにくいなど、生活面でうれしい影響もあります。

ただし円安のときとは反対に、日本製品の価格が上がり海外で売れにくくなったり、海外で得た利益を日本円に換算したときに利益が少なくなったりしてしまいます。円高は、輸出の多い企業にとってはデメリットでしょう。

金投資と円安・円高との相関関係とは？

日本円の価値が下がったときを円安、上がったときを円高と呼ぶことが分かりました。では円安と円高は、金投資にどのような影響を与えるのでしょうか。

ここからは、金投資をするなら円安と円高、どちらのタイミングでどのような取引をするのが向いているのかを解説します。

円安なら金売却がおすすめ

円安のときは、金を売却するのに向いています。なぜなら円安になると金やプラチナの価格が上昇する傾向にあるからです。円安になると輸入した外国のものが高くなるのと同様に、輸入品である金も高くなることが理由です。

また円安のときは日本のものが海外で安く購入できるのと同様に、海外の投資家はこれまでよりも日本の金を安く購入できます。そのため海外の投資家で日本の金を購入する人が増えて、海外からの金の需要が高まります。その結果、より高い価格で売却できる可能性があるのです。

円高なら金購入がおすすめ

円高のときは金を購入するのにおすすめの時期です。

金は国際的に「トロイオンス」と呼ばれる単位で取引されており、1単位あたりの価格は米ドルで示されています。1トロイオンスは約31.1035gです。金を購入する際は、ドルを日本円に換算してから価格を算出します。

そのため、円高になり1ドルあたりの価値が低くなったときに日本円で金を購入すれば、これまでと同じ価格でより多くの金が購入できます。これは円高になると輸入品の価格が下がったり、海外旅行に行きやすくなったりするのと同じです。

なお円高で安くなるのは、金だけではありません。円高になるとプラチナも金と同様に取引するときの為替レートで日本円に換算するため、日本国内での価格が下がります。金やプラチナを購入する場合は、円高のタイミングを狙うと良いでしょう。

金投資をする際のポイント

金投資をする際は、円安・円高だけを意識すれば良いわけではありません。金の取引価格はさまざまな要因が絡んで変化するからです。金相場やインフレ懸念、世界的な金需要の動向など、注意すべき点が複数あります。

ここからは金投資をする場合、円安・円高以外に意識すべき注意点を解説します。

金相場をチェック！

金は世界中で取引されていますが、世界で基準となる金相場があります。金投資をする場合、まずは金相場を確認することが大切です。世界で行われている金の取引方法は、現物取引と先物取引の2種類です。そのうち現物取引の相場はロンドン市場、先物取引の相場はニューヨーク市場を参考に決められています。

金の現物価格が決まるタイミングは、毎営業日の午前と午後の2回です（現地時間）。金相場は金を売却する人が増えるほど下がり、購入したい人が増えるほど上がります。

金相場は新聞に記載される他、金専門会社のホームページなどWeb上でも確認できます。ただし新聞に記載されているのは1日前の相場なので、最新の情報を得るにはWebで確認するのがおすすめです。

インフレ懸念の有無

金相場はインフレの影響を受けるため、インフレ懸念がないかどうかを見極めることも大切です。

インフレとは、インフレーションという言葉の略で、物価が上昇し続ける状態のことを指します。経済が成長する過程でモノの需要が増えたり、原材料や賃金が高騰したりするのに伴い、物価が上昇するのが原因です。中には通貨が大量に出回り、現金の価値が低くなって起こるインフレもあります。

インフレが進めばお金の価値は下がりますが、モノの価値は上がります。すると世間では実物資産として知られている金の需要が増えて、金相場は上がるのが一般的です。これまでの金相場を見ても、インフレが進んでいる時期は金相場が上がる傾向にあります。

地政学リスクの増減

地政学リスクとは、ある地域で発生した外交的な問題や戦争などの軍事的な問題により、この先世界経済がどのような影響を受けるのか分からなくなる状況のことです。

地政学リスクが増加すると、金の価格は上昇する傾向にあります。なぜなら、株式であれば経済不安や戦争によって価値が大幅に下がってしまうことがあり得るからです。しかし、金のような実物資産であればそれ自体に価値があるため、無価値になることはあり得ません。

世界中で「金は価値のあるもの」との共通の認識があり、有事のときでも金を持っていれば世界中でその場所の通貨に換えることができます。こうした理由から、金は「有事の金」と呼ばれることもあります。
このため地政学リスクが増加すると、金需要が増し、金価格が高騰するというわけです。金投資をする際は、地政学リスクの増減も見極めましょう。

中国やインドの金需要

世界で1番目と2番目に人口の多い中国とインドは、金を重要視する文化であり、世界中でもトップクラスの金の消費国です。中国では金投資が盛んで、多くの富裕層が金を保有しています。
またインドでは多くの人が金を保有しているだけでなく、宗教儀式や婚礼の際などさまざまなシーンで金が使用されています。そのため中国やインドの金需要も世界の金相場に大きく影響します。

金投資を検討しているなら、この2国の金需要の動向も意識しておきましょう。

そして重要なのが「信頼できる会社に売却すること」

金を売却する際は、どこに売却するのかも重要なポイントです。前述の通り、金の購入相場は新聞やWebサイトで把握できますが、売却価格は買取会社によって異なります。鑑定する能力や手数料、対応力をしっかり比較検討するのがおすすめです。

適正な金額で安心して取引できるかどうかは、長い間経営を続けている会社か、金の買取実績はどのくらいあるのかなどによって判断できます。ほとんどの買取会社では、創業年や買取実績などを会社のWebサイトに掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

気になる点があるときは実際に問い合わせをしてみて、きちんと対応してくれるところを選びましょう。

金投資は為替相場に注目しよう

金投資をする場合は、為替相場に注目することが大切です。円安のときは金の売却に、円高のときは金の購入に向いている時期です。適切なタイミングを見計らって売却や購入をしましょう。

また金を売却する際は、信頼できる会社を選ぶこともポイントです。1954年創業で豊富な実績を持つロデオドライブでは、金に精通したバイヤーが知識に裏付けされた確かな鑑定をします。壊れている金ジュエリーでも、もちろん買取可能です。

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