COLUMNコラム
プラチナの価値がなくなる?プラチナ価格に影響する要因や今後の価格予想とは?
ジュエリーの素材として人気が高いプラチナ。希少性の高い金属として有名で、かつては金を上回る価格がつけられていました。しかし、2023年12月時点ではプラチナの価格は金相場を下回っています。こうした状況の中、「そのうちプラチナの価値がなくなるのではないか」と考える人もいるかもしれません。
そこでこの記事では、プラチナの価値がなくなる可能性はあるのか、プラチナ価格は何に影響を受けるのかなど、プラチナの価値について解説します。
目次
プラチナの需要とは?
プラチナは高級な金属の一つですが、具体的にどのような場面で需要があるのでしょうか。
高級感のある美しいプラチナは、主に婚約・結婚指輪や大切な人へのプレゼントとして贈るジュエリーに使用されているイメージを持つ人も多いはずです。確かに日本では「プラチナ=ジュエリー」を連想しますが、プラチナが使われている場面は、それだけではありません。
実はジュエリーとしては局地的な需要
プラチナは古代エジプト時代から使用されてきた金属で、日本では明治時代から輸入されるようになりました。現代の日本においてプラチナはジュエリーとして高い人気を集めており、9割程度の人が婚約指輪にプラチナを選ぶともいわれています。
しかし世界をみてみると、プラチナジュエリーは日本ほどの需要がありません。海外のジュエリーはゴールドが主流で、プラチナは日本など局地的な人気にとどまります。
日本でここまでプラチナがブライダルジュエリーとして浸透したのは、ゴールドよりも上品な輝きを放つプラチナが、奥ゆかしさを求める日本人の心にマッチしたからでしょう。
プラチナと似た色のシルバーもジュエリーとして人気があります。しかしシルバーは変色しやすくサイズ直しがしづらいため、長期間使用するブライダルジュエリーとしては一般的ではありません。
プラチナは経年劣化しづらく柔らかいためサイズ直しもしやすい金属です。また金属アレルギーが起こりづらい、色合いが主張し過ぎず日常的に身に着けやすいことから、日本で人気を集めるようになりました。
プラチナは工業需要が多い
プラチナは埋蔵量や埋蔵されている地域に限りがあり、非常に希少な金属ですが、海外のブライダルジュエリーショップでプラチナ製品を取り扱うところは、ほとんどありません。
世界的に見るとプラチナは工業需要が多く、特に自動車産業で多く使用されています。例えば自動車の排ガス浄化装置の一部として使用されたり、燃料電池の材料に使用されたりしています。自動車に使用されているプラチナは、自動車の廃車時に取り出され、リサイクルして使うのが一般的です。
他にもパソコンなどに使用されるハードディスクの一部や、万年筆のペン先、歯の詰め物やペースメーカーといった医療器具の一部に使用されることもあります。さらに美容効果を期待した機能性食品に使用するなど、美容系の分野で使用されるケースもあり、ジュエリー以外にもプラチナのメリットを活かした用途はさまざまです。
プラチナと金の需要の違いとは?
先述したように、日本で人気のあるジュエリーといえばプラチナですが、海外で人気のあるジュエリーはゴールドです。特に中国やインドでは金の需要が多くあります。
プラチナとゴールドの需要を比較してみると、それぞれ異なる分野で需要があることが分かります。プラチナは工業需要が約7割を占めており、貴金属としての需要は3割程度です。
一方ゴールドも電子材や金メッキ、金歯など一定の工業需要はあるものの、プラチナを含むゴールド以外の金属と比較するとその割合は多くありません。
ゴールドの年間総需要の内訳を見てみると、約8割が貴金属としての需要です。多くがジュエリーのほかコイン・金地金など個人の投資対象として利用されていて、工業用として利用されているゴールドは1割程度です。
2015年からプラチナより金の価格が上回る
ではプラチナとゴールドの平均価格はどちらが高いのでしょうか。以下に過去50年のプラチナと金の平均価格推移をグラフにまとめました。
【プラチナと金の平均価格推移】
※田中貴金属のデータを基に作成
過去の相場を見ると、ゴールドよりもプラチナの平均価格のほうが高い傾向です。
しかし2011年の後半になるとプラチナよりもゴールドの価格の方が高くなっています。これは2008年のリーマンショックの影響と考えられます。工業需要が高いプラチナの価格は、世界情勢に左右されやすい金属だからです。
実物資産として世界中で共通の高い価値を持つゴールドは、世界経済が不安定になると、安全資産として需要が増えるため、価値が上がっていきます。そのためリーマンショックにより世界経済が悪化した時期からは、ゴールドの価格の方が高まったのです。
その後も一時期はプラチナの平均価格の方が高くはなりましたが、2015年から現在まで再びゴールドの価格の方が高い状態が続いています。その理由の一つは、脱ディーゼルが叫ばれるようになり自動車部品の一部として必要だったプラチナの需要が減ったことです。
さらに新型コロナウイルスの蔓延により、安定資産であるゴールドの需要が高まったことも理由に挙げられます。
プラチナの価値に影響を与える要因とは?
プラチナの価値に影響を与える主な要因は、「自動車産業の動向」「南アフリカ情勢」「プラチナ消費国の景気」の3つです。それぞれどのような理由で影響を与えるのか確認してみましょう。
自動車産業の動向
前項では脱ディーゼルの動きでプラチナの需要が減ったと解説しましたが、プラチナが使用されているのはディーゼル車だけではありません。多くの人が利用しているガソリン車にも使用されています。
また近年カーボンニュートラルを達成するべく注目されている、HEV(ハイブリッド)車やFCV車(水素燃料車)にも使用されています。特にFCV車には、他の自動車よりも多いプラチナが必要です。
そのため今後どのような自動車が主流になっていくのかによっても、プラチナの需要は変わってきます。貴金属を使用しないFCV車を開発したり、プラチナ以外の素材を使用したりする動きが活発になる可能性がゼロではありません。
実際にこれらの動きは始まっているので、プラチナの価格を予測するためには、自動車産業の動向を日々チェックしておくことも大切です。
南アフリカ情勢
プラチナの価格は、プラチナ産出国の情勢の影響も受けます。プラチナの産出国は南アフリカ、ロシア、ジンバブエ、カナダ、アメリカなどが挙げられますが、中でも突出しているのが南アフリカです。そのため特に南アフリカ情勢の影響を受けやすく、意識しておく必要があります。
実際2020年、南アフリカにある鉱山の工場が漏水トラブルにより稼働を一時的に停止した際は、プラチナの国際価格が急騰しました。プラチナの供給減少に対する不安が理由の一つと考えられます。このときは4年3ヵ月ぶりの高値を記録しています。
反対に南アフリカがランド安となり対ドルレートが急落したときには、プラチナ価格も下落しました。これまでの動向から見て分かるように、南アフリカで起きていることや為替の影響でプラチナ価格が変動する可能性があります。
プラチナ消費国の景気
プラチナは、消費国の景気が良くなれば価格が上昇し、景気が悪化すれば価格も下落する傾向にあります。プラチナは主に中国や北米、欧州、インドなどで消費されています。ジュエリーとしてプラチナが人気を集めている日本も主要消費国の一つです。
例えば新型コロナウイルスが蔓延した際は、プラチナの主要消費国の経済活動が停滞したため、プラチナ価格は下落しました。反対にこれらの国で金融緩和が実施されるなどして経済が活発に動くようになれば、プラチナ価格は上昇しやすくなります。
プラチナの価値がなくなる?
もともとゴールドよりも希少価値が高いといわれ、高値で取引がされていたプラチナ。しかし先述したように現在はプラチナよりもゴールドの方が高値で取引されています。
プラチナ価格を左右する要素は複数あるとはいえ、「このままプラチナの価値はなくなるのではないか」と考える人もいるはずです。実際プラチナの価値がなくなる可能性はあるのでしょうか。
水素燃料自動車の普及で需要増の可能性
脱ディーゼルの動きが活発になったためディーゼル車の生産が減少し、一時期は自動車産業でのプラチナ需要は減少しました。
しかしFCV車の普及が進めば、プラチナ需要は増していくでしょう。FCV車でプラチナを使用している部分は燃料電池です。燃料エネルギーを生み出すには、水素と酸素を反応させなければなりません。FCV車では、水素と酸素を反応させるためにプラチナが利用されています。
世界ではカーボンニュートラルに向けた動きが進んでおり、これからFCV車が普及すればプラチナの需要は増すため、価値がなくなることはありません。
プラチナ消費国の経済回復の可能性
先ほど紹介したプラチナ消費国が好景気になった場合も、プラチナ価格は上がる可能性があります。近年は新型コロナウイルスの影響を受けて経済活動が停滞し、プラチナの需要が減ることで価格も低い水準となっていました。
しかし、新柄コロナウイルスが落ち着きを見せている現在では、さまざまな国の経済が回復する傾向にあります。プラチナ消費国の経済状況が回復すれば、自動車の生産台数が増加するなど、プラチナの工業需要が増加する可能性もあるでしょう。
プラチナの需要が増加すると価格も上昇するため、経済回復が進めばプラチナ価格の上昇も期待できそうです。
今後のプラチナの価値
近年のプラチナと金の価格逆転を見て、プラチナの価値がなくなるのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、プラチナの需要を考えると今後価値がなくなることはないと予想されます。最近の自動車産業の動きや消費国の経済状況を考えると、プラチナの価値がなくなる可能性は低いからです。
ただし世界情勢は常に変わっていくので、日々チェックはしておきましょう。
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