COLUMNコラム
金とプラチナ、どちらが希少? 資産価値があるのはどちらか徹底解説!
指輪やネックレスに使われる素材はいくつかありますが、中でも人気を集める素材が金とプラチナです。ゴージャスで華やかなイメージの金、控えめでありながら上品な輝きを放つプラチナ、どちらも違った魅力がありますがともに投資対象とされています。
金もプラチナも高級な素材のイメージがありますが、どちらの希少性の方が高いのか、資産価値があるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、金とプラチナの特徴や希少性、資産価値などを解説します。
目次
プラチナも金も希少な金属
プラチナも金もどちらも希少な金属です。見た目の美しさからアクセサリーや高級腕時計の素材として使われることも多く、プラチナや金のアイテムを持っているという人も多いでしょう。
プラチナと金には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
プラチナの特徴
プラチナは和名で「白金(はっきん)」と呼ばれる希少金属のひとつです。白金と聞くとホワイトゴールドを連想するかもしれませんが、「白金=ホワイトゴールド」ではありません。混同されやすいため、ジュエリーの場合は白金とは呼ばずプラチナという呼称を使うことが一般的です。
プラチナは融点が1,769度と耐熱性に優れており、変質・変色しづらいことが特徴です。また一般的な金属は硫酸や塩酸、硝酸などで溶けてしまいますが、プラチナは王水(濃塩酸と濃硝酸を混ぜたもの)にしか溶けません。
変質・変色はしづらいものの、素材自体はとても柔らかく変形しやすい点も特徴です。そのためプラチナのアイテムは、純度が高くなるほど加工が難しくなったり傷が付きやすくなったりします。
純度はPt850、Pt900などと表記されており、例えばPt900であれば素材全体のうち90%がプラチナという意味です。一般的にジュエリーの場合、割金をいくらか混ぜることで、強度を出しています。
金の特徴
金は腐食しにくく、錆びにくい金属です。プラチナと同様に王水に触れると溶けるものの、ほとんどの化学物質には反応しないため金属アレルギーも起こりにくいとされています。
金は、素材そのものが柔らかく展延性に優れており、叩いて伸ばしたり引っ張って伸ばしたりすることも可能です。金箔のように非常に薄く加工できるのは、展延性に優れているからです。実際に金1gは3,000mにまで伸ばすことができます。
金の純度は24分率で表記されます。例えば「K24」や「24金」なら純金、「K18」や「18金」なら金が75%含まれているという意味です。金はもともと柔らかい金属なので、他の硬い金属と混ぜ合わせてイエローゴールドやピンクゴールドといったカラーに加工されることも少なくありません。
ちなみにカラーゴールドの色味は、金と混ぜ合わせる金属の種類や割合によって変わります。
プラチナと金、どちらの方が上?
ここまで説明してきたように、プラチナと金にはそれぞれの魅力があります。ジュエリーとしても人気の高いプラチナと金ですが、どちらの方が上なのか気になる人も多いのではないでしょうか。実は希少性の高さと相場の高さで、どちらが上なのかが異なります。
希少性が高いのはプラチナ
金とプラチナを比較すると、より希少性が高いのはプラチナです。
金は世界中で採掘されている一方、プラチナが採掘できる地域は限定されています。プラチナが採掘できる地域は主に南アフリカ共和国・ロシア・ジンバブエ・北米の4カ所です。
これまでに採掘されたものも含めると地球上に存在する金は20万トン以上あるのに対し、プラチナは約1万6,000トンしかないともいわれています。
プラチナは廃自動車や中古宝飾品などからリサイクルもされており、リサイクルによって取り出されるプラチナは鉱山で採掘されるプラチナの量よりも多いとされています。
2023年時点で相場が高いのは金
プラチナがいかに希少性の高い金属なのかが分かると、プラチナの相場の方が高いイメージがあるかもしれません。確かに以前はプラチナの方が金より高価でした。しかし、最近では金の相場の方が高い傾向にあります。
2023年8月8日現在、プラチナが1g約4,735円であるのに対し、金は1g約9,832円と倍以上の価格です(田中貴金属工業の公開している店頭小売価格による)。
劣化しにくく古代エジプト時代から高価な金属として扱われてきた金は、「有事の金」とも呼ばれています。金が貴重という認識は古くから世界共通で、貨幣として使われてきたり金本位制が導入された時代があったりもしました。世界情勢が不安定になるなど経済不安が起きたときにも価格が暴落するリスクがないことも金の特徴です。
投資の面で考えると、株式や外国通貨などを資産として保有するケースも少なくありません。しかし、これらは有事の際に暴落する可能性もあるため、世界情勢が悪化しても価値が左右されない金が注目されています。
※出典:田中貴金属工業株式会社. 「日次プラチナ価格推移」. https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/d-platinum.php, (2023-08-17)
※出典:田中貴金属工業株式会社. 「日次金価格推移」. https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/d-gold.php, (2023-08-17)
金・プラチナの価格(相場)推移
ここで過去50年間分の金とプラチナの価格(相場)がどのように推移してきたのか、チェックしてみましょう。以下は金・プラチナの平均価格推移をグラフにしたものです。
出典:田中貴金属のデータをもとに作成
グラフを見ると、2008年以前は金とプラチナの平均価格はどちらもほぼ同時期に上下しているようです。
1980年にかけて一度どちらの平均価格も急上昇していますが、こちらは1979年に生じたイラン革命が原因と考えられます。このときは産油国であるイランで原油の生産量が大幅に減り、株価の暴落などを心配した多くの投資が金やプラチナの購入を進めたからです。
その後金は2010年以降再び価格を上昇させています。これはイギリスのEU離脱やアメリカ・イラン危機など、不安定な世界情勢によるものと考えられます。
プラチナと金の逆転現象が起こった理由
先ほどのグラフを見ると、もともとはプラチナの相場の方が金を上回っていたことが分かります。しかし2011年の後半頃にはプラチナよりも金の相場の方が高くなり、逆転しました。一時は再び逆転したものの、2015年以降はプラチナの相場が下がり続けているのに対し、金の相場は上昇し続けています。
このような逆転現象が起こるのは、プラチナの需要が不安定であることや金が世界的に注目を集めていることが理由です。プラチナの相場は生産地の経済動向や消費国の景気に影響されます。近年では、新型コロナウイルスが流行したことで世界的に景気が悪化し、プラチナの相場が下がりました。
ここからはプラチナと金の逆転現象が起こった理由を具体的に見ていきましょう。
工業需要の低迷
プラチナの需要が不安定なのは、プラチナは約6割が工業用として使われているからです。例えば自動車や医療器具、化学などの分野で使われています。一方、金はもともと工業需要が低く、ほとんどが貴金属としてジュエリーや投資目的のゴールドバーやコインなどに利用されています。
先述したとおり、プラチナの方が希少性は高いため、金よりも高値で取引されていた時代もありました。しかし景気が低迷すると工業用のプラチナは需要が減り、価格も下がってしまいます。
プラチナの需要が減少してきたのは、2008年のリーマンショックの頃からです。追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが流行し、プラチナの需要はますます減っていきました。
さらにプラチナはディーゼル車の排ガス媒体に使用されており、近年進められてきた脱ディーゼルの動きもプラチナの需要低迷に関係しています。
ジュエリーとしては局地的な人気
プラチナはジュエリーとして人気が高いため、多くが工業用として利用されていることに驚く人もいるのではないでしょうか。日本では婚約指輪や結婚指輪といえばプラチナのイメージが強いのですが、アメリカやヨーロッパでは金の指輪が一般的です。
そもそも結婚指輪は、ローマ帝国で結婚の証として金の指輪を贈り合うという風習がはじまりとされています。アメリカやヨーロッパでは現代でもその風習が受け継がれているため、「結婚指輪=金」となっているのです。
ではなぜ日本では婚約指輪も結婚指輪もプラチナが人気なのでしょうか。プラチナが日本に伝わったのは江戸時代、ジュエリーとして日本に入ってきたのは大正時代とされています。その上品で美しい輝きはあっという間に多くの日本人を虜にしました。
当初は上流階級の人々が好んでいましたが、歴代の皇后がプラチナ製のティアラを着用していたことで、より多くの人にプラチナ人気が浸透しました。
日本ではジュエリーとして人気の高いプラチナですが、世界的に見ると局地的な人気といえます。
金人気の急上昇
世界的に見ると、ジュエリーとして人気があるのは金です。また金は投資対象としても需要が高く、人気が急上昇しています。
先述のとおり、金は世界情勢によって価値が左右されることがありません。2023年8月現在、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻など、世界規模での経済不安が広がっています。
金は世界情勢に左右されることなく安定した資産として注目されているため需要が増え、金価格が高騰することによりプラチナとの相場の差が生まれています。
今後資産価値が上がるのはどっち?
2023年8月の時点ではプラチナよりも金の価格相場の方が高い状況ですが、各国の今後の経済状況や自動車産業の動きによってはプラチナの価格相場が上昇する可能性もあります。
特にプラチナは採掘できる国の経済状況に左右される可能性があり、これまでもプラチナの採掘状況が悪化して相場が上昇したケースがあるからです。
また、自動車産業においても脱ディーゼルの動きはあるものの、次世代自動車の水素燃料電池自動車が普及すれば再び需要が高まると考えられます。なぜならプラチナは水素燃料電池自動車の燃料電池の一部に使用されているからです。
とはいえ、現時点では相場が上昇し続けている金の方が、資産として優位との見方が強まっています。安全資産として保有しておきたい場合は、世界情勢や経済状況に大きく左右されない金といえるでしょう。
ただし、相場の上下が大きいプラチナは、タイミングによっては金よりも大きな利益を得られる可能性があります。ハイリスクハイリターンではあるものの、より大きな利益を狙って資産として保有するという考え方もあります。金とプラチナ両方保有するなど、自分に合った投資を選択することが大切です。
金もプラチナも魅力的な金属
ジュエリーや資産として人気がある金とプラチナには、それぞれに魅力があります。希少性が高いのはプラチナですが、2023年8月時点で価格相場が高いのは金です。そのため資産として保有するとなると、どちらを選べばよいのか迷ってしまうかもしれません。それぞれの金属の特徴を考慮して、自分に合った方を選びましょう。
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