COLUMNコラム
金を簡単に説明すると? 歴史や主要な採取国・方法、使用用途を解説
ジュエリーの素材としてはもちろん、投資の対象としても注目されている貴金属に金があります。ただ同じ金といってもさまざまな純度やタイプがあり、実は使用用途もジュエリーや投資用にとどまりません。本記事では、貴金属の中でも特に金に焦点を当て、歴史や採取方法、主な採取国や使用用途まで詳しく解説します。
目次
金とは簡単に言うと?
古くから金は、世界中で貴重なものとして扱われてきました。現在でも光沢が美しいためジュエリーとして使用されている以外に、換金性に優れていることから投資としても利用されています。純金のほか、18金・10金などがジュエリーとして流通しています。
金は元素記号がAu、原子番号が79の金属で、特に展延性に優れ、加工しやすいのが特徴の一つです。金箔のように背景が透けるほど薄くできたり、髪の毛よりも細い針金状に引き延ばせたりするため、多彩なデザインに対応できます。耐酸化性・耐腐食性も高く、錆びづらく腐食しにくいのも特徴です。
さまざまな純度の金が流通している
金といっても、純金だけを指しているわけではありません。市場では純金はもちろん18金のほか、14金や10金など、純度の異なる金が流通しています。一口に金といっても純度が違い、向いている使い方もさまざまです。
もともと金そのものは他の金属に比べて柔らかく、ジュエリーなどに加工する際は別の金属を配合することで強度を高めてから使用するのが一般的です。以下でそれぞれの金の比率や色合い、特徴や使用用途を詳しく解説します。
投資用として利用される純金
金の純度は24分率で表され、混ぜ物がされていない金がK24と表記される純金です。
日本では純度99.99%以上のものを純金と呼んでおり、金としては最高品質であることを表しています。Kは24分率での重量比率を表す単位、カラット(Karat)の頭文字です。
金は貴金属の中でも柔らかく、薄くしたり細く伸ばしたりするのには向いているものの、柔らかいため加工しにくく傷つきやすいデメリットがあります。そのため純金はジュエリーなどには加工せず、コインやインゴットに加工されるのが一般的です。
インゴットはいわゆる金の延べ棒にイメージされるような、不純物を取り除いてバー状の鋳型に流し込み、固めて整形されたものを指します。主に投資用として流通し、決まった取引市場で扱われています。
ジュエリーに多用される18金
18金は金が24分の18の割合、つまり約75%の金が含まれています。先述したように柔らかい金はそのままでは加工しにくいため、ジュエリーなどにする場合は他の金属を混ぜて使うのです。割金と呼ばれる金以外の金属を25%混ぜ合わせる18金は貴金属として高い価値を持ちつつ、加工もしやすい硬度の素材として重宝されています。
割金に用いられる金属は、主に銀や銅、パラジウムやプラチナなどです。使用する割金によって金の色合いや性質が異なるカラーゴールドが生まれます。たとえば金に銀・銅・パラジウムを混ぜたピンクゴールド、銀と銅を混ぜたイエローゴールド、パラジウムと銀を混ぜたホワイトゴールドなどがあります。
ハワイアンジュエリーでおなじみ14金
14金は金を24分の14、約58.5%含んでいます。24金に比べると金の純度は6割弱になるため、比較的リーズナブルな価格での購入が可能です。
割金の含有量が高い分、硬さがあって変形もしにくいメリットがあり、ジュエリーからペン先などの文房具、メガネのフレームまで、さまざまな製品に加工されています。ジュエリーの中で14金は、細かな彫刻を刻むハワイアンジュエリーに多く使用されています。
国や文化によって好まれる金の純度には多少違いがあります。もともと日本では金を74%含んでいながら耐久性もある18金が注目されてきました。ただし耐久性や頑丈さに重きを置くアメリカでは、結婚指輪であっても18金より14金の方がポピュラーな存在です。
カジュアルで手ごろな10金
10金は金が24分の10、42%の割合で含まれています。18金や14金に比べて割金の量が多くなる分、変色や錆びの可能性が出てくるのがデメリットですが、日常使いに向くジュエリーをリーズナブルに購入できるメリットがあります。特に最近、金の価格が高騰しているため、10金をよく見かけるようになりました。
硬度が高い10金は歪みも少なく、デザインの自由度があります。最近ではカジュアルで手ごろながら、バリエーション豊富なジュエリーが多く登場しています。割金の割合が58%あるため耐久性にも優れ、カラーゴールドもより色味を感じやすくなります。
金の歴史(世界史・日本史)
金は古代より人々を魅了し、金の加工の歴史は数千年前にまでさかのぼります。紀元前6000年頃メソポタミアで発展したシュメール文明の時代に、シュメール人が金を加工して装飾品を作っていたといわれるのが最古といわれています。
紀元前5000~3000年に現在のブルガリアで栄えたトラキア文明の時代には、高度な金の製錬技術や加工技術を持っていたといわれ、実際に遺跡から金製品が発掘されました。紀元前3000年頃に発展したエジプト文明では、ツタンカーメンの黄金のマスクがよく知られています。
平安時代初期に編集された勅撰史書「続日本紀(しょくにほんぎ)」によると、日本で金が発見されたのは749年です。752年に建立された東大寺の大仏にはすでに金メッキが用いられ、中尊寺金色堂にも金が使用されています。日本最大の金脈である佐渡金山は江戸時代に発見され、1989年まで採掘が行われていました。
金の特徴とは?
それでは金の特徴はどのようなものなのでしょうか?ここからは金の特徴について希少性や用途などの観点から解説していきます。
最も価値のある金属
多くの金属はそれぞれが持つ特徴を活かし、工業用として幅広い分野で活用されています。希少性があり、日本で結婚指輪として人気のプラチナも、実は多くが工業利用されています。それに対して金は最も価値のある金属として、需要のほとんどが装飾用や投資用で占められています。
金は人工的に作るのは難しいとされ、自然界に眠っているものを探し出して採掘するか、今あるものを再び利用するしか金を得る方法はありません。
もちろん金が工業利用されていないわけではありません。しかし工業利用する量がほかの金属に比べて少ないのが、金の特徴です。
多岐にわたる使用用途
先述したように、工業利用されている金もあります。たとえば金はパソコンやスマートフォンをはじめとする電子機器の中枢部分の基盤に使用されています。また、半導体や自動車部品、テレビなどの電子機器にも使用されています。また歯学の分野では金歯に使用されることもあります。
これほど身の回りに金が使用されている理由に、金が展延性(てんえいせい)に優れていて加工しやすいことが挙げられます。展延性とは物質を破ることなく薄く長く伸ばせるというものです。金は1,000倍の長さに伸ばせる性質があり、この特性は金箔を作る際にもよく利用されています。
また、金は酸化しにくく熱伝導率が高い、電気を通しやすいなどの特徴もあります。また比重が大きいという金の特徴は、後述するように砂金を集める際に活用されています。
世界中で24時間取引されている
金は通貨や株式とは異なり、実物資産として金そのものに価値があります。しかもその価値は世界共通です。世界中に金市場があり、ほぼ24時間取引されています。需要の増大や縮小によって価格が上昇したり下降したりすることはあっても、金が無価値になることはありません。
金は投資の対象として信用度が高く、「有事の金」といわれ、政治や経済が混乱しているとき、戦争やテロなどの政情不安、災害に見舞われた状況下で買われる傾向があります。インフレにも強く、むしろ金の価値が上昇して需要が高まるため、投資としてもメジャーな存在です。
金の採取方法
金を採取するためには、まず金が含まれる金鉱脈を見つけ出さなければなりません。金の産地として日本では新潟県の佐渡金山や北海道の鴻之舞金山、鹿児島県の菱刈鉱山、世界的には中国やロシア、オーストラリアや南アフリカなどが有名です。
金の採取方法にはいくつかあり、その一つとして金鉱脈から金鉱石を採掘して微粉化し、単体となった「山金」を採取する方法があります。
山金の採掘は、かつては地表から下に向かって徐々に採掘する露頭掘りが一般的でした。しかし表面の金が枯渇してくるにつれ、鉱脈に沿って採掘するひ押し掘りや、より深い場所に坑道を掘って採掘する坑道掘りが主流になっています。
比重が重い金の特性を利用し、風化や侵食で川に流れ着いた「川金(砂金)」を川底から専用の道具を使って採取する方法は耳にしたことがある人も多いでしょう。川金が付近の河岸段丘に堆積したものは「柴金」といわれ、河岸の土砂から柴金を採取する方法もあります。
金の採掘量 世界ランキング
順位 | 国名 | 2022年の産出量(トン) |
1 | 中華人民共和国(中国) | 330 |
2 | オーストラリア・ロシア | 320 |
4 | カナダ | 220 |
5 | アメリカ合衆国(米国) | 170 |
6 | カザフスタン・メキシコ | 120 |
8 | 南アフリカ | 110 |
9 | ペルー・ウズベキスタン | 100 |
かつては金の産出国といえば南アフリカが最大規模を誇っていましたが、2000年代に入ってから減少傾向が続き、2022年は年間110トンで8位です。代わりに中国やオーストラリア、ロシアなどが産出量を増やしてきました。
年によって各国の産出量には多少の振れ幅があるものの、2010年以降は中国・オーストラリア、ロシアが上位を占めています。
一時期中国は年間450トン程度を産出していた年もあり、2005年頃に比べると倍ほどの産出量でした。2016年以降は少し減少気味ですが、それでも2022年の産出量は330トンで世界1位です。
オーストラリアとロシアが同率2位で、中国に迫る320トンの産出量があります。続く4位は北アメリカ大陸のカナダで220トン、アメリカ合衆国が5位で170トンです。中央アジアや中南米の産出量も比較的多く、カザフスタンとメキシコが同率6位で120トン、ペルーとウズベキスタンが同率9位で100トンを産出しています。
金を高値で売却するためには?
金の買取価格は常に変動しています。金を売却しようと思ったら、まずは金相場を確認しましょう。基本的に高値で売却するためには、相場の高いタイミングで売却するのがポイントです。
金相場は2019年くらいまでは大きな変化はありませんでしたが、以降は値上がり続け、2023年12月には24金のインゴット1gが過去最高の1万900円台を記録しています。売却する際は金の買取を専門とし、実績も豊富な買取会社を利用するのがおすすめです。
美しく需要の高い金
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