COLUMNコラム
金製品のひし形刻印はホールマーク! 数字の意味や海外の刻印表示まで解説
金のジュエリーやアクセサリーに、ひし形のマークが刻印されているのを目にしたことがある方も多いでしょう。金製品に刻印されているひし形は、その製品の価値を見分けるための手がかりになります。
本記事では、金製品に施されるひし形の刻印の役割や、刻印の種類、意味などについて解説します。
目次
金製品のひし形模様の刻印は?
金が使われている製品には、ひし形の模様をした刻印が彫られているものが存在します。この刻印は「ホールマーク」または「品位証明記号」とも呼ばれ、銀やプラチナなど金以外の貴金属製品にも刻まれていることがあります。その製品についての正確な情報を伝えるために刻印が施されているのです。
ひし形の中の数字は純度を表す
日本で製造され、造幣局の品位試験を通過した金製品には、日本国旗の刻印が入っています。その横にはひし形の刻印があり、ひし形の刻印の中央に表記されているのが金の純度です。
「日本国旗のマーク」「ひし形」「純度を表す数字」の3要素が揃っている金製品は、本物である可能性が高いでしょう。ただし、3つの要素が揃っていたとしても偽物の可能性はゼロではないので、より正確に本物かどうか調査したい場合は比重検査などを行ってください。
金の純度は3桁の数字で表現されることがあり、「999」は純金であることを意味します。金に他の金属が混ざっている合金の場合は、その割合に応じて「916」「750」といった数字で表記されます。
また金の純度は、3桁の数字の他にも「K24」「K18」などのカラット表記が使われることも多いです。3桁の数字よりもカラット表示の方が見慣れていて分かりやすいという人もいるでしょう。ひし形の中に表記される3桁の数字と、カラット表示の対応を以下の表にまとめたので、参考にしてください。
金製品の品位証明区分 | カラット表示 |
999 | K24 |
916 | K22 |
750 | K18 |
585 | K14 |
416 | K10 |
375 | K9 |
※出典: 独立行政法人造幣局.「貴金属製品の品位区分と証明記号」.https://www.mint.go.jp/no-list/operations_certification-02.html ,(参照 2024-04-08).
ホールマークの歴史
ホールマークが貴金属に刻印されるようになったのはイギリスが始まりです。14世紀頃には貴金属に刻印が使われていました。
イギリスの貴金属細工業者の組合では、貴金属製品の検査が行われ、品位試験に合格した製品に刻印を施していました。その場所が「Gold Smith′Hall」という会館であったことから、「ホールマーク」という名称になったといわれています。
国によって異なるホールマーク
ホールマークは、信頼性のある機関が貴金属製品の品質を証明する印として位置づけられていますが、日本においてホールマークの打刻は義務付けられていません。あくまでも任意なので、本物の貴金属製品でもホールマークが入っていない場合があります。
ホールマークの取り扱いは各国で異なり、イギリスのようにホールマークの刻印を法律で義務付けて、貴金属製品の品質を保持しているケースもあります。
ヨーロッパでは1972年に「ホールマーク条約(ウィーン条約)」が締結され、条約に調印した国では貴金属製品に対して「CMM」という共通の管理マークを刻印するようになりました。ただし、ホールマーク条約への加入は任意で、全てのヨーロッパの国が参加しているわけではありません。
ここからは国別のホールマークについて解説していきます。
フランスのホールマーク
フランスでは、18金以上の純度を持つ製品のみ金製品として認められており「poinçon(ポワンソン)」と呼ばれる刻印がなされています。品質が証明された金ジュエリーには、一般的に鷲の頭をモチーフにした刻印が入れられます。
フランスで使われるホールマークのデザインはこれまでに何回か変更されているため、刻印されているデザインの種類を見れば、その金製品が製造された年代を推測できるでしょう。
フランスの金製品には、製造を手がけた工房を表す刻印が入っていることもあります。
イギリスのホールマーク
イギリスでは、1300年代に粗悪な品質の金製品が出回ったことから、法律でホールマークの打刻を義務付けて流通を厳しく取り締まることになりました。イギリスで使われるホールマークには、多くの情報が入っています。
「スポンサーマーク」は製造元を示すもので、金製品を作った業者や個人を識別可能です。「スタンダードマーク」は金属の種類を表し、金の純度を示す数字が刻まれます。イギリスでは、カラット数を表す「ct」という表記が一般的です。
「アセイットマーク」はその製品を検査した機関を示し、信頼できる検査機関で品質が確かめられた製品であることが証明されます。検査が行われた年代は「デイトレター」というマークを見れば分かります。
過去には税金を支払った証である「ディーティーマーク」も使われていましたが、現在では必ずしもディーティーマークが入っているとは限りません。イギリスはホールマーク条約に加入しているため、金製品には品質を証明するCMM共通管理マークも刻印されています。
中国のホールマーク
中国や東南アジアで主に流通しているのが、中国の金です。日本の金に比べて黄色味が強いという特徴を持っています。
中国の金には、「~足金」という刻印が入っているのが特徴です。例えば、K20にあたる金製品には「足金」、K22にあたる金製品には「千足金」、K24にあたる金製品には「万足金」という刻印が打刻されます。
ただし、中国のホールマークは国で定められたものではなく「~足金」という表記も「22金程度」「24金程度」といったあいまいな表現で、正確な純度を保証するものではありません。
中国の金は純度にムラがあり、刻印が入っていても表記通りの純度ではない可能性があります。製品によっては、品質を正確に判断するために詳細な鑑定が必要です。
台湾のホールマーク
台湾で使われるホールマークには、中国と同様の「〜足金」または「999.9」といった数字が刻印されています。数字表記の場合、金のグラム数が一緒に刻印されるケースが多く、100グラムの純金なら「999.9 100g」というように記載されます。
台湾で金の取引が行われるときは、グラムの代わりに「錢」という重量の単位が使われるのが一般的です。例えば1キログラムのインゴットの場合、266.6錢と分類されます。その他に、台湾のインゴットには「5両」(187.5グラム=50錢)という分類や、「1両」(37.5グラム=10錢)という分類もあります。
台湾で使用されている「錢」という単位は、日本の「匁(もんめ)」に相当し、1錢は3.75グラムに換算されます。
ホールマークのない金製品は偽物?
国によっては日本のようにホールマークの刻印が義務とされていない場合もあり、ホールマークの付いていない金製品は数多く存在します。さらに製造時にホールマークが刻印されていても、経年劣化などで刻印が消えてしまうケースもあり、ホールマークがないからといって偽物とは断定できません。
ホールマークが付いていなくても、純度が高く価値のある金製品は数多くあります。また刻印が入っている製品でも、調べてみると刻印通りの純度ではないことが判明する場合もゼロではありません。正確な鑑定を受けるには、貴金属についての知識が豊富な専門家がいる買取店に査定を依頼しましょう。
金製品の刻印の種類と意味
金製品には、製品情報としてホールマーク以外の刻印が打刻されていることがあります。ここからは、金製品によく入れられている刻印の種類と、その意味の詳細について解説していきます。
金の純度
金の純度をホールマーク以外の表記で打刻する場合は、「K(カラット)」という単位がよく使われます。カラットは24分率という重量比率の基準で純度を表現したもので、K24は金が「24分の24」という意味を表し、純度がほぼ100%の純金ということを指します。
海外では千分率という基準で純度が表示される製品があり、K24に相当する純金には1000や999.9といった数字が刻印されていることも。純度91.6%の金はK22や916、純度75%の金はK18や750といった刻印が付けられます。
またK18ではなく、18Kというカラット表記を目にしたことがある方もいるでしょう。18Kのような表記は通称「あとK」と呼ばれ、主に海外の金製品や古い年代に製造された金製品に付いています。
「あとK」の金製品には刻印に示されている通りの正確な純度の品もありますが、中には金の含有率を偽った製品もあり、特に注意が必要です。
メッキや金張りの有無
金メッキや金張りなどの加工が施された貴金属製品にも、刻印が入っている場合があります。金メッキや金張りで加工された製品には、下記のようなアルファベット・数字で加工の種類などが表記されていることがあります。
金メッキ
刻印 | 意味 |
GP |
|
M、1M、3M、5M |
|
1/10、1/20 |
|
GE、GEP |
|
HE |
|
金張り
刻印 | 意味 |
GF |
|
GS |
|
GR |
|
RGP |
|
GT |
|
ブランド名
ブランド名が刻印されている金製品もあります。例えば、1892年創業の老舗ブランドであるGINZA TANAKAは、五芒星の中央にSの文字が入った「ホシエスマーク」で品質を保証しています。
ジュエリーマキの製品に使われる刻印は、四つ葉のクローバーに似た形のデザインです。またアメリカで創業されたラグジュアリーブランドのティファニーでは、ブランド名である「TIFFANY & CO.」の文字が刻印されています。
ミキモトの貴金属製品には「MIKIMOTO」の文字が刻印されているか、アコヤ貝のマークにMの文字が入った刻印が施されています。
金製品のひし形刻印は信頼の証
金製品に施されているひし形の刻印は、その製品の品質を示すホールマークです。日本においてホールマークの打刻は任意ですが、金製品の信頼の証として一つの目安になります。
金製品の買い取りを依頼するときは、製品の価値を正しく査定できる店舗を選びましょう。1954年創業の貴金属・ジュエリー・ブランド品の買い取り・販売専門店「ロデオドライブ」には金に精通したスタッフが在籍しており、ホールマークがない金製品であっても丁寧に査定します。金製品の買い取りは、ぜひロデオドライブにお任せください。
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